田中六五(たなかろくじゅうご)、喜蔵|有限会社白糸酒造

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 244蔵目

田中六五(たなかろくじゅうご)、喜蔵|有限会社白糸酒造

福岡県糸島市本1986


酒名:白糸(しらいと)、田中六五(たなかろくじゅうご)、跳木(はねぎ) 
■創業:1855年(安政2年)7代 ■杜氏:芥屋(けや)杜氏 ■仕込み水:弱硬水(背振山系の伏流水) ■訪問日:2012/4/23

代表銘柄

純米酒 田中六五
純米吟醸 喜蔵 50
純米大吟醸 跳木


福岡の中心地、天神から電車で約30分、福岡市のベッドタウンという糸島市の筑前前原駅に到着。

蔵は駅から車で10分くらいの場所との事。
レンタカーを走らせ蔵へ向かう途中、ドラマにでも出てきそうな閑静な住宅街が現れます。この辺りは単なるベットタウンではなく高級住宅地のよう。東京でこの物件を購入しようと思えばかなりの値段がするのではないでしょうか。
福岡で購入してもかなりすると思います。

そんな事を考えながら車を走らせて、住宅街を抜けたとたん田園地帯が現れます。
すると遠くに「シライト」の文字が書かれたエントツを発見。
福岡の山田錦の生産地にある酒蔵白糸酒造に到着です。
shiraito_gai.jpg

田中六五(たなかろくじゅうご)、喜蔵 有限会社白糸酒造|蔵の入口
白糸酒造は安政2年(1855年)に勘三郎氏が創業した現在で7代続く酒蔵です。

勘三郎氏は酒造業を行う以前は醤油業を営んでいたそうです。
蔵元の話によると、蔵の周囲は米どころである事から酒造業を決意された、と伝えられているとの事ですが安政時代に創業した酒蔵は多い事から、推測ですがこの時代は酒造の免許が降りやすかったのではないでしょうか?

勘三郎氏は酒造業に参入するのに良いチャンスと思ったのかもしれません。
長崎奉行より酒造の許可を得て1855年酒造業を開始。蔵はこの年を創業年としています。

しかし勘三郎氏は酒造の許可を得た後、病となり酒造業を断念。
次の代の喜蔵氏が再度、長崎奉行から免許を得て酒造りが本格始動する事になります。

代表銘柄は白糸喜蔵は創業150周年に立ち上げた銘柄。
田中六五(たなかろくじゅうご)、喜蔵 有限会社白糸酒造|商品
蔵が位置する白糸市は福岡県の山田錦の産地です。

酒造好適米、山田錦が誕生した当時、全国各地の県で山田錦の試験栽培が行われたそうです。
その際に糸島でも試験栽培が行われましたが、品質の良い米が収穫できた事からこの地で山田錦の栽培が行われるようになります。
土壌は兵庫県のような粘土質では無いのですが、山からの吹き下ろしの風が日と夜との寒暖差を与え、それが山田錦の成長に良いとの事。

近年になって山田錦の栽培が行われたのではなく、山田錦の誕生直後から栽培されており、地道な研鑽を重ね、兵庫県に次いで生産量2位となる山田錦の産地に成長します。(現在は山田錦の生産量2位の産地は岡山です。ちなみに一位の兵庫と二位の間には大差があり、兵庫県が圧倒的な生産量を誇ります。)

そんな山田錦の産地である糸島にはかつて4件の酒蔵があったそうですが現在は1件のみ。
最後の1件となった白糸酒造では糸島産山田錦の生産地に位置するという環境の利を活かし、地元の山田錦に特化した酒造りを行なっているとの事です。

写真の方が8代蔵元予定の田中克典さん。
田中六五(たなかろくじゅうご)、喜蔵 有限会社白糸酒造|田中克典
克典さんは2009年に蔵に戻って来られ酒造りの仕事をされています。

現在白糸酒造には最後の一人となった芥屋(けや)杜氏が酒造りをされています。
芥屋(けや)杜氏は、かつては福岡県では最も数が多かった流派だったそうですが、現在に残っているのはたった1名。
克典さんは、その最後の芥屋(けや)杜氏を次ぐ存在として期待されています。

写真は麹室の入り口。
田中六五(たなかろくじゅうご)、喜蔵 有限会社白糸酒造|麹室
甘酒用でしょうか?
私が訪問した次期は既に今期の酒造期は終わっていますが、写真を見た感じでは盛っている見えますね。

写真は釜場。
田中六五(たなかろくじゅうご)、喜蔵 有限会社白糸酒造|釜場
克典さんが蔵に入られた2009年に誕生した酒が「田中六五(たなかろくじゅうご)」。

この酒は糸島産の山田錦を用いて造られる純米酒で、「田中」というのは蔵元の苗字という事と、山田錦の「田んぼの中」に蔵が建っている事から。六五というのは精米歩合のことです。
目標は福岡を代表する酒、福岡の定番的な存在となる酒。

現在は65%精米の純米酒の一種類のみですが、もし55%精米の純米吟醸が加われば、田中五五というネーミングで商品ラインナップを増やしてく予定との事。

写真は白糸酒造で用いられているお酒をしぼる槽。
田中六五(たなかろくじゅうご)、喜蔵 有限会社白糸酒造|槽場
白糸酒造の搾りは、このハネ木搾りと言われる昔ながらの槽のみで行われています。
油圧、水圧で押す槽や、ヤブタ式と呼ばれている圧搾機は全く使用されていません。

ハネ木搾りとは写真の通りお酒をしぼる際に、てこの原理を用いて力点に当たる部分に大きな石をぶら下げ、その重さを圧力に変えて槽の中に積まれた酒袋から酒を搾ります。

滋賀県の不老泉にも「木槽天秤搾り」と称する、同様の圧搾方法で酒を搾っていますが、白糸酒造はこの槽のみ。普通酒から大吟醸までこの槽で酒を搾っているそうです。

訪問の証の記念撮影。
実際のハネ木搾りを目の前で見て、その迫力と造形美に驚く吾郎。
田中六五(たなかろくじゅうご)、喜蔵 有限会社白糸酒造|記念撮影
克典さんの話によると福岡の日本酒は大手が不在。
福岡を代表する日本酒は?
という質問に対し「明確にこの酒」といえる存在が福岡には無いとの事。

食材と一緒に飲んでもよし、お酒だけ単独で飲むのもよし。
そういう福岡の定番的存在となるような大きな目標を持って田中六五を造られているそうです。

田中六五は限定流通となっていて、福岡では糸島の特産品を扱う飲食店などで扱われているとの事。
まだ展開したばかりの銘柄という事で今後の活躍に期待できます。
福岡で注目すべき新進気鋭の蔵元ではないでしょうか。

商品の購入・質問は田中六五(たなかろくじゅうご)|有限会社白糸酒造へお問い合せ下さい。
TEL:092-322-2901白糸、田中六五、跳木醸造元有限会社白糸酒造
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

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